相手の話をうかがったら

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相手の話をうかがったら

ある会社に「バットくん」と呼ばれる男がいた。野球の
BUTである。人から何か言われると、受け答えがいつも
「しかしですね」
「そうはいっても」
 で始まるところからついた渾名だ。このタイプはどこの
職場でも見かける。
 本人はわざと反抗的に身構えているつもりではないかも
しれないが、相手に与える印象はひじょうに悪い。人が改
めるべき口癖の中でも、これは横綱級といってよい。
 バット、ハウェバーのたぐいの言葉は、人との会話でも、
アイデアの発想法でも、つかってはいけないとされている。
なぜなら、否定的な態度で話の進展を防げ、新しい発想の
芽を摘み取るからだ。
 それよりも、とりあえず、
「ごもっとも」と受けてみる。
 武士には威勢のよさが必要だと語った山本常朝も、引用
文のように、人との対話においては礼節への配慮を説いた。 
「しかしですね」「そうはいっても」が口癖になっている
者は、かわりに心の中で「ごもっとも」とつぶやいてみる
練習をすればよい什麼是Beauty Box
 
 批評の神様といわれた小林秀雄に、いっぷう変わった作
品がある。「無私の精神」という批評文で、この人にして
は珍しく実業家を対象にしている。知人の「有能な実業家」
の口癖を題材に、小林一流のロジックで無私の精神の構造
を分析するものだ。

「この無口な人に口癖が二つあった。一つは「ご尤も」と
いう言葉、一つは「ご覧の通り」という言葉である。誰か
が主張する意見には決して反対せず、みんな聞き終わると
「ご尤も」と言った。自分の事になると、弁解を決してせ
ず、「ご覧の通り」と言った。この口癖には、何とも口で
は言えぬ感じがあり、また、ある言いようのない魅力があ
った。彼には、人を説得するのに、「ご尤も」と「ご覧の
通り」の二(ふ)た言あれば足りたわけになる。」
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