おもしろいお兄さんと思っていた

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

おもしろいお兄さんと思っていた

岡山県の大きな町にある大学に、野添美(のぞみ)さんは、
通っていた。22歳、大学4年生。大学の学生寮にルームメイ
トと二人で生活し、楽しい自由な大学生活を送っていた。
 生理が止まっていた。以前から生理は不順だったので、気
にも留めず、バトミントン部で毎日激しい運動をしていた。
部活が忙しく、ボーイフレンドもいなかった。自分の体が変
化してきても、妊娠など考えもしなかった。お腹が膨らんで
きたのは太ったからだと思った。つわりは車酔いと、胎動は
腸が動いていると、かってに解釈していた。もしかしたら何
か変なものをができているのかもしれないと思ったが、腫瘍
だったら怖いので考えないようにしていた。
 それでも部活の夏合宿が終わって、お盆に帰郷するときに
「生理不順」が気になって、大学の近くにある産婦人科クリ
ニックを受診した。
 診察が終わると、ドクターは静かに彼女に告げた。
 「おめでたです……」
 あとはよく覚えていない。「まさか」それ以外の声は出なか
ったreenex cps 價錢
「妊娠37週です。おそらく、あと3週で子供さんは生まれま
すよ」
「あと3週間……」
 体中の筋肉の収縮力が、奪われていくような気がした。息を
するのも苦しい。息が止まりそうな気がした。このまま座って
いられないかもしれない。「倒れちゃうよ」頭のなかで叫んだ。
「倒れちゃぁダメ」と野添美さんは自分に言い聞かせた。
「産むしかありません」
 ドクターの言葉が耳の奥につきささった。
「私の人生はどうなってしまうのか」「大学はどうなるのか」
「お母さん。ゴメンナサイ」いくつも唐突な思いが、次から次
へと頭のなかを巡ったreenex效果
 野添美さんは、岡山から、どうやって松本平のなかにある小
さな町に帰ってきたか覚えていない。しばらく岡山に帰らない
はずなのに、往復キップの帰りのチケットが、ポケットに入っ
ているのにあとで気がついた。頭の中が真っ白な状態が続いて
いた。
 お母さんには相談できず、一人で悩みながら、翌日、松本平
にある地元の小さな病院に行った、そこでも妊娠であること、
あと3週間ほどで生まれることを同じように告げられた。
「産むしかありません」
 ドクターの声が再び響いた。
 もう大学に戻れないかもしれない。大学のある瀬戸内海の海
辺の町が、今は蜃気楼のように見えた。
 母親に電話をする。
「赤ちゃんができた……」
 涙があふれて声にならない。
「妊娠9カ月……」
 野添美さんの声が消えた。
「死にたい」
 沈黙がひろがる。お母さんは声も出ない。
 途方もなく長く感じられる時間が過ぎていった。
「早く帰っておいで。何にも心配要らないよ」
 母親の声はやさしかった。

 アルバイトをするため、岡山の親戚の家に一か月泊ったこと
があった。そこで従姉妹の夫に関係を迫られた。野添美さんは
この人のことを、体の関係
をもったときも、それほど嫌だと思っていなかった。今でも憎
くて憎くてという気持はないという。
 従姉妹夫婦の家庭を壊すわけにはいかないだろうと、なんと
なく思った。
 シングルマザーが流行っていると聞いた。しかし、彼女は父
親なしで子供を産み、育てられるとは思ってはいなかった。い
つかは恋愛をして、好きな男性と過程を築いて、子供を産みた
いと思っていた。
 シングルマザーなんてたくまし生き方は、自分には似合わな
いと思っていた。
PR